相続基本編
- 遺産分割協議は必ず行わなければならないのでしょうか。
遺産分割協議は必ず行わなければならないということはありません。遺産分割協議を行わなければ、不動産等は共同相続人で共有状態になります。
- 遺産分割の手続きはどのような方法がありますか。
①遺言により指定する②各共同相続人による協議③調停④審判の4種類があります。
- 遺産分割協議はどのようにすればいいのでしょうか。
特別な方式はなく、口頭でも電話やメール、手紙でも問題ありません。共同相続人全員が参加し、合意すれば有効に成立します。包括受遺者や相続分の譲受人も参加する必要があります。
協議が成立した場合は、必ず遺産分割協議書を作成しておくことをお勧めします。- 遺産は一切要らないと言っている相続人がいるのですが、どうすればいいのでしょうか。
“一切要らない”という場合でも法的にはいくつかの選択肢があり、発生する効果も異なります。当該相続人本人が理解したうえで、『遺産分割協議』『相続分の譲渡』『相続放棄』などよく検討して選択する必要があります。
- 借金は特定の相続人が相続することはできますか。
借金(債務)は遺産分割の対象とはならず、法定相続分に応じて当然に分割して各相続人に承継されます。共同相続人で法定相続分と異なる負担割合の合意をすることは可能ですが、債権者の承諾がない限りは免れません。
- 遺言と異なる内容の遺産分割協議はできますか。
原則、相続人全員の同意があればできますが、遺言で禁止されている場合、遺言執行者がいる場合、すでに遺言書のとおりに分割している場合などは注意が必要です。
- 遺産分割協議書は必要でしょうか。注意点はありますか。
協議が成立した場合は、必ず遺産分割協議書を作成しておくことをお勧めします。
協議の内容を証明するために、遺産相続の手続きで必要になることもあります。
また協議の蒸し返しを防いだり、後日の証拠としても有効です。原則として相続人全員分を作成し、それぞれがきちんと手元に保管しておくことが、後日の紛争等を防ぐのに役立ちます。- 遺産分割の方法はどのようなものがありますか。
①現物分割②代償分割(不動産などを取得した相続人が他の共同相続人に金銭等で支払う)③換価分割(遺産を売却して換金し、換金した代金を分配する)④共有分割などがあります。
- 相続人の間で揉めていたり遺産分割協議が整わない場合、どうすればいいのでしょうか。
家庭裁判所での『調停』や『審判』を利用する方法があります。また、弁護士に依頼し、代理人となって交渉してもらう方法もあります。
- “全財産を長男に相続させる”内容の遺言書がみつかった場合、他の相続人は一切遺産を相続することができないのでしょうか。
兄弟姉妹(その代襲を含む)以外は『遺留分』が認められています。遺留分とは、一定の相続人に法律上保証された相続財産の一定の割合です。よって、遺留分減殺請求をすることにより、兄弟姉妹以外の法定相続人は一定の割合の相続分を確保することができます。
- 遺留分減殺請求はいつまでにどのようにしなければならないのでしょうか。
亡くなったこと及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ってから1年間もしくは亡くなってから10年間経過するまでに行わなければなりません。
贈与または遺贈を受けた者に対して意思表示をして行います。口頭でも書面でも可能ですが、後日の証拠のために内容証明郵便によって行うことをお勧めします。- 遺産相続手続きを先延ばしにするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
遺産相続手続きの中には相続放棄や相続税の申告等、期限がある手続きもあります。
また、時間が経過すると数次相続の発生による遺産分割協議の難航や不動産の老朽化による遺産の時価の変動なども懸念されます。- 亡くなった父が所有していたマンションを人に貸していたのですが、どのような手続 きが必要でしょうか。
借主に連絡し、相続登記をしたうえで賃貸借契約書を更新するのが望ましいでしょう。
家賃を振込してもらっていた銀行口座も相続人名義の口座に変更する必要があります。