~毎月1回お届けする相続に関するエッセイ風コラム~

 

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目次
(2024年2月) 世代の移り変わりと「Z世代」
(2024年1月) 遺言書のデジタル化の動き
(2023年12月) 相続登記をお急ぎください
(2023年11月) 空き家の有効活用を考える
(2023年10月) 不要な空き地をなくすには
(2023年9月) 福原愛さんの長男と共同親権
(2023年8月) 任意後見制度の目的としくみ
(2023年7月) 家族信託の目的としくみ
(2023年6月) 認知症に備えるために
(2023年5月) 子育てのセーフティネット
(2023年4月) 特別な「寄与」と「受益」の話
(2023年3月) 離婚の増加と共同親権について
 
(2023年12月~1月) 目次
(2022年12月~1月) 目次
(2021年12月~1月) 目次
(2020年12月~1月) 目次
(2019年12月~1月) 目次
(2018年12月~1月) 目次
 

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【2024年2月】
世代の移り変わりと「Z世代」
 
最近は遺言書だけでなく、全てのことで何かとデジタル化が強調されています。ついこの間まではITと言っていたような気がするのですが、今ではDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれ、政府や自治体でも盛んに使われています。それに伴って私たちの生活も変わらざるをえないようですが、そうしたDXを子供の頃から当り前のように利用しているのが「Z世代」の人たちです。
この「Z世代」というのは、マイクロソフトからWindows95が発売された1990年代後半から2010年頃までに生まれ、年令的には10代から20代前半の人たちを指すと言われます。

同じような言葉として「X世代」「Y世代」というのもあり、これらはアメリカで使われ始めた呼称です。もともとアメリカでは1960年~70年代生まれを「X世代」、80年~90年代前半生まれを「Y世代」と呼んでいましたが、その流れでそれに続く世代を「Z世代」と呼ぶようになりました。しかし日本では「X世代」「Y世代」はあまり使われず、「Z世代」だけが注目され使われています。
「Z世代」はデジタルネイティブとも呼ばれ、生まれた時からパソコンが手元にあり、今ではスマホやタブレットを駆使してSNSによる情報収集や発信を繰り返しているまさにDXの世代です。

Z世代
〇〇世代という呼称は、日本でもこれまでいろいろと使われてきました。主なものはまず戦後のベビーブームだった1947~49年生まれの「団塊の世代」で、学生運動を経験し高度経済成長期が始まった頃に社会人となった世代です。
次の1950〜64年生まれが「しらけ世代」と呼ばれ、現在のほぼ60代の人たちで、団魂世代に比べ無気力・無関心であったことに由来します。次いで似たような「新人類」という言葉も登場しました。
その後は 60年代後半に生まれ、バブル景気の頃に社会人となった「バブル世代」で、長時間労働や接待が当たり前の人たちでした。次いで1970年代以降に生まれた「就職氷河期世代」は失われた世代とも呼ばれ、バブルがはじけて正社員になれず非正規で働くことが多かった人たちです。この「就職氷河期世代」は「団塊の世代」の子供の「団塊ジュニア世代」とも重なります。

次が1990年代から2000年代前半生まれの「ゆとり世代」で、詰め込み教育からの転換の時代に学齢期を過ごし、働いて残業するよりワークライフバランスを重視した世代です。これはアメリカの「ミレニアル世代」とほぼ重なり、次の「Z世代」へと続きます。
「Z世代」は日本では少子高齢化のため少ないですが、世界では全人口の約3割を占めるほど多く、これからの主流となる世代です。さらに近年は次の「α世代」という言葉も登場しています。
相続は遺産を次世代にバトンタッチするものと言われますが、こうした新しい世代は急激に変化するDX社会の中ではたして遺産をうまく承継できるのでしょうか。昨今の世情を見ると、私などは少々不安になってしまいます。

 

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【2024年1月】
遺言書のデジタル化の動き
 
新年早々、震災や事故が続きましたが、早く平穏な日々が戻ってほしいものです。
さて今回は久し振りに遺言書の新しい動きについて取り上げてみます。
近年は高齢者の方々のパソコンやスマホの使用が増えており、それに合わせて法務省では遺言書のさらなるデジタル化の方法を検討中です。具体的にはこれまで必ず手書きとされていた「自筆証書遺言」の本文においても、パソコンなどデジタル機器での作成が可能という方向で議論が進められています。
遺言書について少しおさらいをしておきますと、まず作成方法には主に二種類あります。一つは公証役場で証人二名立会いのもと遺言者の意思にもとづき公証人が作成する「公正証書遺言」です。こちらは間違いが起こりにくい確かな方法ですが、手続きがやや面倒なのが難点です。

あと一つは遺言者が自分で自由に手書きで作成する「自筆証書遺言」です。こちらは作成は比較的容易ですが、全文を本人が手書きしなければならず、また書式に不備があれば無効となります。さらに第三者による改ざんや紛失といったリスクもあります。
この「自筆証書遺言」に関しては、これまでそのリスクやデメリットを少なくするためいくつかの対策が講じられてきました。そして民法改正による方式緩和によって、本文を除く財産目録についてはパソコンでの作成が認められ、また預貯金などは通帳コピーを添付し、それに署名押印することが認められるようになりました。

遺言書デジタル化
さらに保管場所がわからなくなったり、偽造や破棄される心配を無くすため法務局で保管できる制度が設けられました。この際に法務局がある程度様式のチェックをしてくれる他、画像情報として保存されるため相続人などからの請求に応じて証明書を発行してもらえたり、相続人死後の家庭裁判所による「検認」も不要となるなどのメリットがあります。この保管制度の利用件数は、現在年間約1万8000件ほどになっています。
このようにさまざまな対策が取られてきた「自筆証書遺言」ですが、今後のデジタル化で議論される方向としては本人の意思確認及び改ざん防止策が焦点になりそうです。そのため手書き署名や電子署名の活用、あるいは入力する様子の録画や代理として家族の入力を認めるかどうかといった案が議論されるようです。

いずれにしても遺言書を作成するには、まず相続人が誰で、相続財産はどれだけあるかをきちんと把握することが必要です。最近は金融資産もオンライン化やキャッシュレス化が進み、必ずしも通帳や証券といった目に見える形で確認できないこともあります。こうしたものを逐一チェックし、財産目録を作成しておくことが大切です。
また複数の相続人に対し、遺産を誰にどのように分割して相続させるかの問題があります。それには相続税のことを含め、相続人の間で不公平感が出ないように十分配慮して遺言書を作成することも大切と言えます。

 

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