~毎月1回お届けする相続に関する楽しいイラスト付きエッセイ風コラム~

 

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目次
(2025年4月) 中小企業の事業承継
(2025年3月) 神戸市の『樹林墓地』計画
(2025年2月) 国籍と夫婦別姓問題について
(2025年1月) 『エンディングノート』あれこれ
 
(2024年12月~1月) 目次
(2023年12月~1月) 目次
(2022年12月~1月) 目次
(2021年12月~1月) 目次
(2020年12月~1月) 目次
(2019年12月~1月) 目次
(2018年12月~1月) 目次
 

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【2025年4月】
中小企業の事業承継
 
企業の経営者がその会社や事業を後継者に引き継ぐことを、事業承継と呼んでいます。日本ではこれまで、経営者の子供など家族や信頼できる部下を後継者とするのが一般的でした。
しかし近年は適切な人材が見つからないまま経営者が高齢化し、廃業や解散を迫られる中小企業が増えています。『中小企業白書』によれば、2025年度までに中小企業経営者の平均引退年齢である70歳を超える経営者は約245万人おり、うち約半数の127万人は後継者が未定とされます。

ある調査によれば、この後継者未定の中小企業の多くは廃業を予定していると回答しています。まさに大廃業時代の到来です。廃業を放置するとその影響により国内で約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPの損失が見込まれると予想されています。
その廃業理由としては「当初から自分の代でやめようと思っていた」が38%と最も多く、次いで「親族に後継者が不在」が29%、「事業に将来性がない」が28%となっています。

 

事業承継

 
ただしこれらの企業のうち約3割は「同業他社よりもよい業績を上げている」と回答しており、さらに今後10年の業績見通しについて約4割が「少なくとも現状維持が可能」と回答しています。
この回答結果からは、企業として業績が良好な状態にもかかわらず、廃業を選択せざるをえない傾向があることがわかります。これではせっかく築き上げた企業の資産や人材をみすみす失うことになり、社会にとっても大きな損失と言えます。

こうした損失を防ごうと、近年は事業承継において社内以外の社外承継が注目されています。その対策としてオンラインでのM&Aマッチングサービス、公的機関である事業引継ぎ支援センター、さらには銀行、証券会社、保険会社など民間大手がM&A仲介事業に参入開始するなどしています。
「事業承継税制」も導入され、事業の後継者が取得した一部資産について贈与税や相続税の納付が猶予されたり、また「特例制度」で相続者が申告期限の翌日から5年間代表取締役を務めれば相続税を実質負担しなくてよいことになりました。
このように事業承継をめぐる環境は、近年大きく変化しつつあります。これによって中小企業の事業が、スムーズに次世代に引継がれることを期待したいものです。

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【2025年3月】
神戸市の『樹林墓地』計画
 
お墓の問題については、本コラムでもこれまでたびたび取り上げています。
例えば2023年1月の「お墓の承継について考える」では、少子化や核家族化さらには寺院の檀家制度の形骸化などによりお墓の承継が難しくなっていること。そこで増えているのが「個別にお墓を持たない」という考え方で、そのために寺院や霊園の「永代供養墓への合祀」や「納骨堂」に納める方法、さらには樹木の下に埋葬する「樹木葬」や遺骨を海や山に撒く「散骨」などについてふれました。

また2024年10月には葬儀やお墓の形の変化として、家族葬の増加と共にお墓もかつての伝統的な和型石材から多様化しつつあり、断捨離して何も残さず自然に帰りたいとの気持から「樹木葬」や「海洋葬」「山葬」などの「散骨」といった方法を選ぶ人が増えていること。また「納骨堂」方式や、さらには1平方㍍以下の「小型墓」と呼ばれるものが増えていることなどを取り上げました。

 

樹木葬

 
こうした世の中の変化に合わせ、最近神戸市が新しく樹木の下に遺骨を共同で埋葬する『樹林墓地』を整備することを発表しました。市によりますと『樹林墓地』とは墓石などの代わりに樹木を植えその下に遺骨を共同で埋葬するものです。
市は近年の少子高齢化が進む中で墓地に対する意識が大きく変化しているとして、それに対応するため以前から新たな施設の整備を検討してきました。そしてこのたび久元市長が定例の記者会見において、この『樹林墓地』の構想と整備計画の概要を明らかにしました。

それによりますと、神戸市北区の森林公園内に約1200平方㍍の墓地を整備し、そこにおよそ1600体の遺骨を受け入れるということです。本年夏頃から工事を始め、来年(2025年度中)には完了させる見込みです。そのための整備費用として約7千万円程度を予定していて、新年度予算案にその経費を盛り込むことにしています。
市によると、自治体としてこのような『樹林墓地』を整備するのは全国の政令指定都市で初めてとのこと。市長は「亡くなった後にどのような埋葬を望むかという気持は、ここ10年ほどの間に急激に変化してきている。市として「樹林葬」の取り組みを新たにスタートさせたい」と述べています。
今後は他の自治体でも同じような取り組みが増えそうです。

 

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【2025年2月】
国籍と夫婦別姓問題について
 
アメリカのトランプ大統領が就任早々、国籍の「出生地主義」を廃止する大統領令に署名しましたが、連邦地裁が一時的差し止めを命じたとのニュースが流れました。国籍は国家という共同体の構成員であることを示す資格のようなもので、相続においても重要な問題となります。
「出生地主義」とは誰でもそこで生まれただけでその国の国籍が得られるもので、これに対するものとしては親との血縁によって定める「血統主義」があります。ただしどちらかだけで決めるのではなく、もう一方も補完的に考慮して決めるのが一般的と言われます。

トランプ大統領は不法移民対策の一環として実施しようとしていますが、ちなみに「出生地主義」が多いのは北中南米の国々で、アメリカの他、カナダ、ブラジル、アルゼンチンなどです。アジアでは、今回のアメリカと同じようにバングラデシュからの不法移民に悩まされたインドは2004年にこれを変更しています。
日本は原則として「血統主義」で、フランスやドイツといったヨーロッパの先進国も以前は「出生地主義」を採用していましたが、いずれも二十世紀に入ってから「血統主義」に変更しています。

国籍と子供たち

 
この「血統主義」は、国家というのは血縁や民族としてのつながりが基本であるとの考え方から生まれたもので、親子関係が重視されています。そしてこの「血統主義」には父母の国籍が関係しています。
父母の国籍が同じであれば問題はないのですが、両方の国籍が異なる場合に、父の国籍が自国であればその子にも認められるのを「父系優先血統主義」と言います。また父母どちらかの国籍が自国であれば、その子にも認められるのを「父母両系血統主義」と言います。
ですから「父系優先血統主義」の国においては、母の国籍だけ自国の場合にはその子が認められるかどうかはそう簡単ではありません。

これを聞くと、最近日本で大きな問題になっている「選択的夫婦別姓」を思い出します。それは単に夫婦の姓をどうするかという「旧姓の通称使用拡大」などに止まらず、その子供の姓をどうするかが問題の根本となっています。すなわち父母(夫婦)とその子供の関係をどうするかという問題です。その意味では、国籍の話とよく似た側面を持っています。
これについては血縁や共同体という国家の伝統をどう守るかというナショナリズムの問題が根底にあるだけに、なかなかすっきりと解決するのは難しいと言えます。すでに30年近く検討されているわけですが、はたして近いうちに明確な方向を打ち出せるのでしょうか。それともまた先送りとなるのか、注目されるところです。

 

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【2025年1月】
『エンディングノート』あれこれ
 
新年おめでとうございます。今年こそ災害のない一年でありますように。
さて今月は、終活とも関連する『エンディングノート』の紹介をしてみたいと思います。言うまでもなくもしもの時に備えて、残された家族に迷惑がかからないよう大切なことがらを書き記しておくノートのことです。しかしいざ書こうと思っても、何からどう書けば良いか悩んでしまう方が多いのではないでしょうか。こうした声に応え、最近はわかりやすく書きやすい『エンディングノート』が多数販売されています。

一般社団法人終活協議会による『はじめの一冊 オリジナルエンディングノート』は、表紙にエンディングノートとの記載は特にないものの、自分自身のことやパソコン、スマホ、さらには各種資産、生命保険や葬儀、お墓、ペット、介護、医療、連絡先といった大切な情報をもれなく記述できるようになっています。このため情報整理用としても大いに役立つノートです。
気負うことなく気軽に書けるという点が評価されていて、本格的な終活の前に自分の情報を整理するものとして格好のツールと言えます。

多くの終活セミナーの受講者の声をもとに、すらすら書きやすいものを目指したという『一番わかりやすいエンディングノート』は、行政書士法人事務所代表の東優(ひがしまさる)氏著作のものです。
書き込みやすいノート仕様となっていて、終活の流れに沿って順番に書き込んでいくとそのまま完成するのが特徴です。暗証番号などの重要情報を保護する「マル秘カード」や「スクラッチシール」も付いています。さらに40年ぶりの令和の改正相続法に対応している点も安心と言えます。

 

エンディングノート

 
文具メーカーのコクヨからはこだわり仕様の「エンディングノート もしもの時に役立つノート」が販売されています。これは日々の生活の備忘録としても役立つ、大切な情報を一冊にまとめられるノートです。
相続で大変なのは、何がどれだけあるかを調べることと言われます。銀行口座はいくつ、クレジットカードは何枚、現金以外の資産や借入金はどれだけ、口座引落しはないか、サブスクには入っているのか、等々については残された人が特に苦労します。そのような情報をきちんと整理しておける他、日常生活での財布やクレジットカード紛失など様々な「もしもの時」に役立ちます。CDや写真なども入れられるディスクケース付きです。

文響社の「生前整理ノート」は全く新しいタイプのエンディングノートで、自分に関するさまざまなことを元気なうちに書き込めるようになっています。
具体的には、預貯金、株式、保険、不動産、貴金属、借入金などの資産内容や、金融機関の口座番号と暗証番号、不動産権利書や遺言書などの保管場所、サブスク契約、パソコンやスマホのパスワード、医療介護や葬儀、お墓の希望など、あらゆる情報を書き込むことができます。
さらに「書き込み家系図」「日本と世界の書き込みマップ」や「入院・介護時の備え書き込み帳」「やり残したこと実践計画」など、多くの新しい内容が盛り込まれています。

他にも各種のものが多数販売されていますが、いずれも高齢者の終活用としてだけでなく、若い方が日々の生活の備忘録としてこれらのノートを活用するのも有力な方法と思われます。

 

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