~毎月1回お届けする相続に関するエッセイ風コラム~

 

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目次
(2023年1月) お墓の承継について考える
 
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【2023年1月】
お墓の承継について考える
 
令和5年を迎えました。長かった新型コロナも、中国を除いてはようやく収束に向かう兆しが見えてきたようです。
さて相続というとまずは財産や相続人のことを考えるのが普通で、特にお墓や仏壇などを意識する方は少ないと思います。
以前の『祭祀やお墓に関する話』で、これらは相続財産には含まれず、民法で「祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する」と定められていて、それにはかつての「家」制度が関係していることを書きました。
古来より私たち日本人はお彼岸やお盆に先祖のお墓参りをし、それが家族をつなぐ絆にもなっていました。しかし今や大家族の時代は過ぎ去り、少子化や核家族化が急速に進んでこうした慣習は昔ほどには行われなくなっています。

さらに寺院の檀家制度がしだいに形骸化する中で、都市部と農村部のいずれにおいても「家」を守るという文化は失われつつあります。その結果として祖先の祭祀を行う者がいなくなり、多くのお墓で承継者が不在となって無縁墓になるケーが増えています。これは全国各地で空き家が増加しているのと同じ問題と言えます。
こうしたことから、最近は無縁墓とならないようあらかじめ「墓じまい」をして移転させる人が増えています。また新たにお墓を考える時に、「個別にお墓を持たない」という選択をする人も多くなっています。

 
お墓の承継
 
前者の「墓じまい」については、お墓の遺骨を消失させるわけではなく、現在のお墓から遺骨を取り出して墓石を解体し、そこを更地にして新たな移転先に納骨するというものです。
そのためには現在のお墓の「埋蔵証明書」や移転先の「受入証明書」をお墓のある市町村役場に持参して「改葬許可書」の交付を受ける手続きが必要です。特に移転先については、承継者が不在でも永年にわたり供養してくれるお墓をあらかじめ確保しておく必要があり、場所の選定や費用などについてよく確認しておくことが大切と言えます。

後者の「個別にお墓を持たない」とは、個人スペースとして特定のお墓を持たないという意味です。私たちが実際にお墓を探してみると、自宅や遺族の住まいから遠かったり、お墓(土地)の永代使用料が高額であるなど、さまざまな問題に直面します。一般的にお墓の費用は200万円前後(都市部では300万円以上のことも)と言われます。またいつまで確かな承継者が存在するのかという不安もあります。
そこで最近増えているのが「個別にお墓を持たない」という考え方なのです。

代表的なものとしては、合祀するお墓(永代供養墓)に遺骨を納め、寺院や霊園に永代供養してもらう方法があります。
また納骨堂に納める方法や、墓石の代わりに樹木の下に埋葬する樹木葬、遺骨を粉にして海や山などに撒く散骨、さらには遺骨を自宅において供養する手元供養という方法もあります。これらは33回忌など定められた期間が過ぎた後は、永代供養墓などに合祀してもらう場合もあるようです。なお一度合祀をすると、後からお墓を作りたいと思っても遺骨を取り出すことができませんのでこの点は注意が必要です。
お墓というのは誰にとっても大変難しい問題ですね。

 

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