〔成年後見制度〕

 

成年後見制度は病気や事故などにより判断能力が不十分になった人が不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをしてその方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。一人暮らしの老人が訪問販売員に騙されて高額商品を買わされるといったケースも、この制度を利用して防ぐことができます。
本人の判断能力の程度により、次の3種類に分かれます。

●自己の財産管理ができなければ後見(後見相当)

●自己の財産管理には常に援助が必要なら保佐(保佐相当)

●自己の財産管理に援助が必要な場合があるなら補助(補助相当)

成年後見制度

後見人は本人の親族がなる場合もあれば、司法書士、弁護士、社会福祉士、税理士などの専門家が選ばれる場合もあります。必ずしも申立人の希望する人が選任されるとは限りません。専門家を選んだ場合は、本人の財産から報酬を支払うことになります。
申し立てができるのは本人、配偶者、4親等内の親族です。ご自分で申立てをするのが不安な場合は、ぜひわたしたちにご相談ください。仮に成年後見人が選任されても、スーパーやお店で商品を買ったりする日常生活の行為は自由にできます。
なお後見、保佐については本人の精神鑑定を行うため2~3ケ月程度、また補助については本人の同意を確認する必要があるため1ケ月程度の日数がかかりますので早めの手続きが望ましいです。

 

 

〔特別受益の持ち戻し〕

 

特別受益の持ち戻しとは、相続人の中で被相続人が亡くなる前に贈与を受けた人がいる場合、贈与を受けた人と受けなかった人が同じように相続すると不公平になる可能性があります。そのため生前贈与の一部や遺贈を特別受益として法定相続分から差し引き、その額をその相続人の相続分とするものです。
特別受益の対象としては、遺贈された財産や、婚姻・養子縁組その他生計のための贈与などがあります。
遺贈は、財産を贈与すると遺言書に書かれている場合です。また婚姻や養子縁組ではその持参金や支度金は含まれますが、結納金や結婚式の費用は特別受益になりません。少額の生活費援助などは特別受益になりませんが、私立の医学部学費など他の相続人に比べて特に高額な場合は特別受益になる可能性があります。
その他生計のための贈与では、事業資金の援助や住宅購入資金などは特別受益になりますが、遊興費の贈与などは特別受益にあたりません。また借金を肩代わりした場合は法律上は求償権といってその分を借金した相続人に請求できるため特別受益になりませんが、実際には求償権を放棄している場合も多く特別受益になる可能性があります。
なお特別受益は遺産分割や遺留分減殺請求の過程で主張していくもので、それだけを単独で主張するものではありません。遺産分割調停の中で相手方は生前贈与を受けて特別受益があり自分の取り分はもっと多いはずとか、遺留分減殺請求訴訟の中で相手方の生前贈与からすれば遺留分は存在しないといった形で主張します。

 

〔相続税の基礎控除額と税率表〕

 

相続税の税率は、下表のように基礎控除の金額を超えた部分に応じて税率が決められています。
基礎控除の計算式は平成27年1月からは次の通りで、相続財産の合計金額がこれより少なければ 相続税は支払わなくてもよいのです。
(生命保険金や死亡退職金は“みなし相続財産”として500万円×法定相続人の数の非課税限度枠があり、それを超えた分が対象。また借入金などの債務や葬儀費は差し引きます)

 3000万円+(相続人の数×600万円)
◎相続人が2人(妻と子1人で2人)の場合は
 3000万円+(2人×600万円)=4200万円(基礎控除額)
◎相続人が3人(妻と子2人で3人)の場合は
 3000万円+(3人×600万円)=4800万円(基礎控除額)
この基礎控除額を超えた部分が多いほど税率が高くなり、たくさん相続税を支払わなければならないことがわかります。  

基礎控除を超えた金額 相続税率 税金控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下   15% 50万円
5000万円以下  20% 200万円
1億円以下   30% 700万円
2億円以下   40% 1700万円
3億円以下  45% 2700万円
6億円以下  50% 4200万円
6億円超  55% 7200万円

気をつけていただきたいのは、例えば相続財産から基礎控除を引いた額が3200万円だったとして、それにそのまま上表の相続税率20%をかけて計算するのは間違いです。
正しくは基礎控除を超えた金額をいったん各相続人の法定相続分に分割し、その金額にそれぞれの相続税率をかけて税額を算出して合計し直します。その合計額を各相続人が受け取る相続財産の割合で分けることにより、初めて各自の税額が決定します。
要はどんぶり勘定ではなく、各相続人できちんと区別して計算しなさいということですね。
ただし配偶者の場合は、法定相続分もしくは1億6千万円までのいずれか多い金額までの税額控除があるため、それを超えなければ課税はありません。
よく配偶者が存命の場合の一次相続に比べ、その後の二次相続の方が大変と言われるのはこの配偶者控除がなくなるからです。ですから一次相続においても、将来の二次相続のことまであらかじめシミュレーションしながら相続対策をしておくことが大切となります。

相続税の税率