遺言書には遺言執行者の指定を

収まる気配のない新型コロナウイルス感染ですが、肺炎の怖さと同時に観光や経済面の打撃も深刻になっています。皆で力を合わせ、何とかこの事態を乗り切りたいものです。
今回は相続において大切な遺言書と、遺言執行者の指定について取り上げたいと思います。
遺言書は相続における無用の争いを避ける意味でも重要で、近年はしだいに作成する人が増えてきています。その形式としては昨年2月の本コラムでも詳しく述べましたが、自分の思い通りに書く自筆証書遺言と、手続きがやや面倒な公証役場で公証人が作成する公正証書遺言の二つがあります。

自筆証書遺言は簡単ですが、いくつかデメリットがあったため、最近その方式が緩和されています。財産目録をパソコンなどの文書作成ソフトで作ったり、預貯金の通帳コピーを添付することが可能となりました。さらに保管場所が不明になったり偽造や破棄を避けるため、法務局で保管する制度が創設されました。ある程度は法務局が様式のチェックをしてくれ、相続人の死後に家庭裁判所が行う「検認」が不要となります。ただし内容面の審査や確認をしてくれるわけではない点に、注意する必要があります。
この遺言書作成に関連して、遺言執行者の指定ということがあります。




遺言執行者とは簡単に言えば、遺言の内容を実行するための権限を持ってその手続きを行う人のことです。具体的には相続財産目録の作成や、法務局での不動産名義変更の手続き、遺産分割方法の指定、相続人以外の者への遺贈、さらには子供の認知といった特別な役割もあります。
特に相続人が複数いる場合には作成する書類が多くなり、このように遺言執行者が相続人を代表して手続きを進めないと手続きが非常に面倒になってしまいます。また相続人同士の利害によりさまざまな問題が起った場合は、それを調整する必要があります。こうしたことに対処する意味でも、遺言執行者を指定しておくことが望ましいと言えます。ちなみに遺言執行者がいれば、それ以外の人はそうした手続きを執行できないことになっています。

この遺言執行者には、未成年者と破産者以外は基本的に誰でもなることができます。もちろん遺言がない場合は遺言執行者もいないわけですが、その他にも遺言書の範囲内ですべて有効に手続きが完了する場合もその必要はありません。逆に子供を認知する場合や、相続人の廃除・その取り消し等については遺言執行者しかできませんので、その選任は必須となります。

遺言執行者を選任するには、主として次の三つの方法があります。
①遺言書で指名する ②家庭裁判所で選任してもらう ③第三者に遺言執行者を決めてもらう(遺言執行者を決める人を指名しておくもの)
一番わかりやすいのは、やはり①の遺言書で明確に指定しておくことでしょう。
遺言執行者を相続人以外の人にする場合は何らかの報酬が発生することになりますが、相続に関してはそれなりの専門知識がある方が利害関係の調整や手続きがスムーズに運びますので、私たち司法書士のような専門家を指定しておくのが望ましいと思われます。