相続と贈与の違いあれこれ

新型コロナウイルスの感染で大変な事態となっていますが、一刻も早くこの騒ぎが終息することを願うばかりです。
さて今回は相続と贈与の違いについての話です。どちらも財産を人に譲り渡すという点では同じようにも思えますが、そもそも相続と贈与の違いはどこにあるのでしょうか?
まず相続は死後に発生するものであるのに対し、贈与は生前に行われるという時期の違いがあります。さらに相続は基本的に法定相続人(親族)が対象であるのに対し、贈与は相手を自由に選べるという点も違っています。そしてちょっとまぎらわしいのが「遺贈」ですが、文字通り遺言による贈与という意味ですから、それが行われるのは贈与する人の死後になり、贈与の相手も相続人(親族)以外ということになります。

また贈与においては、双方の合意が必要という条件があります。相手の同意なしに勝手に贈与することはできません。口頭の約束でもかまいませんが、トラブルを防ぐ意味からも贈与契約書を交すのが一般的です。ただし「遺贈」の場合は、相続と同じように必ずしも相手の同意は必要ありません。受け取りたくない時は、相続と同じくその権利を放棄することができます。このような相続と贈与の基本的な違いを、まずは正しく理解しておきたいものです。

次に相続と贈与の税制上の違いを、見てみたいと思います。相続税と贈与税という言葉があるように、これらは税制では明確に区分されています。ただし「遺贈」は、実質が相続に近いものであるため相続税が適用されることになっています。
それらの違いの主なものとして、基礎控除額と税率があります。
基礎控除額は相続では3,000万円+600万円×相続人数であるのに対し、贈与では年間110万円までは非課税となります。また相続は一時的な課税であるのに対し、贈与では単年毎の暦年課税という違いがあります。
税率もそれぞれ違っていますが、細かい部分を省略してきわめて大雑把に述べると相続に比べ贈与の方が税率は高くなっています。これは相続財産の受取人は親族が多いのに対し、贈与はそれ以外の人も多いため、ひとまず相続の方を優遇して税率を低くしていると考えられます。

ただし贈与では、いろいろなケースにおいて優遇措置が設けられています。例えば少子化対策として「結婚・子育て資金」用に、20~50歳の子供や孫に一回だけ1000万円まで(結婚については300万円まで)非課税で贈与できる制度や、30歳未満の子や孫に「教育資金」として1500万円まで非課税で贈与できる制度があります。いずれも所得1000万円以下の人に限定されますが2021年3月末まで有効で、金融機関に資金口座を開設して行います。
また60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫への贈与の場合に、2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」を選択できる制度もありますが、これについては機会をあらためてまた詳しくご紹介したいと思います。

このように相続と贈与はどちらも財産の譲渡という面では似ていますが、違う点も多くあります。一般的には生前に自由意志で相手と共に行うものを贈与と呼び、死後に行われるものを相続と呼んでいるわけです。実際にはそれに法律や税制の問題が絡むため、いろいろと難しい点が多くなります。どうぞ内容をよくお確かめの上、じっくりご検討くださるようお願いいたします。