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遺産相続に期限はある?

遺産相続では、遺産の調査や分割、納税など、さまざまな手続きを行うことになります。相続した遺産の名義変更などに期限はなく、原則何十年後でも手続きは可能です。ただし、期限が設けられている手続きがあり、期限を過ぎてしまうと延滞税などのペナルティが科せられる場合があります。


遺産分割に期限は存在する?

遺産を相続人間でどのように分けるかを決める遺産分割に期限はありません。相続人全員が同意しなければ遺産分割は成立しないので、仮に一人でも内容に同意せず、遺産分割協議書にサインしなければ、どんなに時間がたっても遺産分割は完了しません。


遺産分割請求権に時効はない!

故人の死後、相続人間での分割協議が終わるまでは遺産は相続人全員の共有財産となります。遺産が共有状態にある時、相続人はいつでも協議によって遺産分割をする権利があり、その権利を「遺産分割請求権」と言います。

遺産分割請求権に時効はありませんが、遺産分割が完了しないことで相続税の納付などその他の期限がある手続きに支障が出てきてしまうことがあります。期限に気を付ける必要がある手続きを把握し、相続全体をすすめていきましょう。

期限に気を付けるべき遺産相続の手続き4つ

遺産相続の中でも、期限に気を付ける必要がある手続きは4つあります。それぞれの期限と過ぎてしまった場合のペナルティ、過ぎてしまった場合の対処方法について紹介します。


その1

相続放棄、限定承認は “3ヶ月以内”に

相続放棄は、借金などマイナスの遺産の方が多い場合に、負債を払う義務も含めたすべての遺産を放棄することを指します。

限定承認は、自身が得たプラスの遺産の分だけマイナスの遺産を相続する形で相続をすることを指します。


相続放棄、限定承認の期限はいつ?

相続放棄・限定承認を選択し、家庭裁判所に申し立てる期限は「相続開始を知った日から3ヶ月以内」となっています。


期限を過ぎてしまった場合のペナルティと対処

相続放棄を行うかどうかは自身の選択によるものなので、期限を過ぎてしまっても特にペナルティはありません。ただし、期限を過ぎてしまうと特別な理由がない(借金の存在を3ヶ月後に知ったなど)限りは相続放棄はできなくなります。


その他、手続きの際のポイント

期限内に財産の把握ができず相続放棄するかどうか決めかねる場合には、家庭裁判所に申し立てることで期限を延長することが可能です。


その2

遺留分の請求は “1年以内”に

法定相続人のうち兄弟姉妹以外には、遺言に左右されな相続できる最低限の割合「遺留分」が定められています。遺留分が侵害されているとわかった時、侵害された遺留分を相続した相手に請求することができます。


遺留分の請求の期限はいつ?

遺留分の請求の権利は、遺留分の存在を知ってから1年で時効消滅していまいます。たとえ相続の事実を知らずにいた場合でも、相続開始から10年で権利は消滅します。


期限を過ぎてしまった場合のペナルティと対処

遺留分は必ず請求しなければいけないわけではないので、たとえ期限を過ぎてしまってもペナルティはありません。遺留分がもらえなくなってしまうことになります。


その他、手続きの際のポイント

遺留分減殺請求は、遺産だけでなく生前贈与された財産も対象になります。自身の遺留分が侵害されているかどうか、しっかりと確認してみてください。

遺産をめぐって感情的に対立してしまっていることも多いため、裁判に発展するケースも想定されます。

その3

準確定申告は “4ヶ月以内”に

準確定申告とは、故人に代わって確定申告を行う手続きです。この手続きが必要なのは、主に個人事業主や自営業者です。故人が会社員などの場合は、年末調整が行われるので、原則必要はありません。


準確定申告の期限はいつ?

準確定申告の期限は「相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内」となっています。払いすぎてしまった分の還付請求の期間は、通常の確定申告と異なる5年間です。


期限を過ぎてしまった場合のペナルティと対処

納付期限を過ぎてしまうと期限日から納付日までの日数に応じた「延滞税」が、期限後に申告していないことを税務署に指摘されると「無申告加算税」(納付金額×15%~20%、納付金額によって税率は異なります)を追加で納める必要があります。

期限を過ぎてしまうと延滞税は避けられませんが、無申告加算税は法定申告期限から1ヶ月以内の申告であればかかりません。期限を過ぎてしまった場合は、1ヶ月以内には申告をするようにしましょう。


その他、手続きの際のポイント

準確定申告の申告書類には、相続人全員がその内容について了解していることを示す必要があります。連署や押印を集めるために時間がかかるので、余裕を持って準備しましょう。

その4

相続税申告は “10ヶ月以内”に

   相続又は遺贈によって遺産を取得したときは、課税価格が基礎控除額を超える場合は、相続税を申告して納税しなければなりません。


相続税申告の期限はいつ?

相続税申告の期限は、「相続開始を知った翌日から10ヶ月以内」となっています。


期限を過ぎてしまった場合のペナルティと対処

相続税も準確定申告同様、期限を過ぎると「延滞税」「無申告加算税」がかかります。無申告加算税は、税務署から指摘される前に自ら気づいて申告した場合は税率が低くなります。期限を過ぎてしまった場合も、できるだけ早くに申告をするようにしましょう。


その他、手続きの際のポイント

相続税の申告は、延滞税が発生してしまうため最も期限に気を付ける必要があります。遺産分割が完了していない場合も期限が延長されることはなく、法定相続分による仮の納付を行うなどの必要があります。

税金の申告、期限を過ぎたらどんな理由でも考慮されないのか?


期限を過ぎてしまうよくある理由

遺産相続の手続きで期限を過ぎてしまうよくある理由として、遺産相続の手続き全体が遅れてしまっていた場合、分割協議が揉めてしまい他の手続きが遅れてしまった場合などです。また、単純にうっかり忘れていたということも少なくありません。遅れてしまっていることに気がついたら、できるだけ早く手続きを行うことが重要です。


期限は延ばしてもらえないのか?

準確定申告や相続税の申告など、期限が過ぎた場合にペナルティが発生するような手続きは、どうにかして期限が延長してもらえないかと考えると思います。相続税の申告の期限である10ヶ月というのは、原則として動かすことはありません。ただし、特別な事情がある場合に限って、期限の延長ができる可能性があります。


期限を延ばしてもらう方法

期限を延ばしてもらえる特別な事情として①災害等が発生した場合、②認知、相続人の廃除、回復などで相続人に動きがあった場合、③遺留分減殺請求があって相続財産に変更があった場合、④遺贈に関係する遺言が見つかった場合などです。

上記のようなやむを得ない事情がある場合には、税務署に申告期限の延長を申請することで最大2ヶ月期限を延長できます。

申告期限内に協議が進まない場合の対処方法

遺産分割協議が進まない場合でも、準確定申告・相続税の申告は可能です。ただし、法定相続分での計算になってしまう、遺産を納付に利用できないなどのデメリットがあります。

また、相続税の申告前に遺産分割協議が終わっていないと、小規模宅地等の特例など相続税の優遇が受けられなくなってしまいます。

相続税の申告の期限が来る前に遺産分割協議を終わらせることができるように、早い段階から専門家の力を借りることも一つの手段です。


専門家に相談するのが1番

遺産相続の手続きをすべて期限内に終わらせ余計なお金がかからないようにするためには、相続に関する専門的な知識を持った司法書士、税理士、場合によっては弁護士などに相談することが必要になってきます。それぞれの士業の違いやメリットについて紹介します。


司法書士

司法書士は、相続手続き全般や不動産分野を得意としています。もちろん不動産の名義変更(相続登記)はできますし、遺産相続手続きを丸ごと代行することができます(一部、他の専門家の独占業務を除く)。また、裁判所に提出するための書類を作成することもできますので、遺産分割協議がスムーズに進まない場合の遺産分割調停の申立書や相続人の一部に認知症などで意思疎通がとれない人がいる場合の後見等申立書の作成にも対応することができます。


税理士

誰もが知る税金の専門家です。相続税の申告や準確定申告を依頼したい場合は、税理士に相談すべきといえます。ただし、遺産分割や相続登記など法的な手続きも関係してくるため、司法書士と連携して進めるケースが多くなります。


弁護士

弁護士は、分割協議が揉めて調停・訴訟に発展した場合に代理人となることができる唯一の職種です。すべての専門家ができる手続きをすることができますが、一般的に費用が高くなる傾向があり、主に遺産分割で揉めているもしくは揉める可能性が高い場合に依頼をする人が多いのではないでしょうか。

   行政書士

行政書士に依頼した場合、相続登記や相続税の申告などさらに司法書士や税理士に依頼しなければならないケースが多いため、かえって費用が高くなってしまうことが考えられます。遺産が預貯金と車のみというようなケースであれば、他の専門家より費用が抑えられるなど行政書士が向いているのではないでしょうか。

まとめ

遺産相続はさまざまな手続きが組み合わさって進んでいくため、いくつもの手続きを並行して進めていく必要があります。分割協議が難航してしまい、気がついたら期限が迫っていたということにならないように、できるだけ早い段階で専門家に相談して、スムーズに遺産相続を進めていきましょう。専門家に相談する場合は、相続問題に強い司法書士事務所・司法書士を選ぶことが重要です。