~毎月1回お届けする、相続に関するエッセイ風コラム~

 

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【2018年10月】
メールでは遺言になりません

 

先月の紀州のドンファンに引き続き、遺産相続のトラブルの話です。
歌手や作曲家として数々のヒット曲を生み出し、多くのファンに親しまれた平尾昌晃さんが昨年7月に79歳で亡くなりました。「瀬戸の花嫁」や「カナダからの手紙」などでご記憶の方もおられると思います。ところが最近になり、その遺産相続でテレビのワイドショーなどを賑わす騒ぎとなっています。
平尾さんはかつて二度離婚し、亡くなる前にはM女さんと再々婚をしていました。M女さんは平尾さんの音楽事務所のマネージャーでもあったらしく、晩年の生活を支えていたようです。それが今後50年にも及ぶ作曲家としての印税を含めた総額60億円と言われる遺産相続を巡って、平尾さんの三男から訴えられています。
三男は前妻の子で歌手としてもデビューしていますが、そもそもM女さんと平尾さんの婚姻自体がいわゆる後妻業ビジネスによるもので正当ではないと主張しています。つまり配偶者として認めないということで、そうなると配偶者相続分は無くなり、一般的には長男とその異母兄弟である二男、三男だけで1/3ずつ相続することになります。

この〝争族〟にはいろいろと変わった側面があります。主たる遺産が印税という目に見えない著作権であること、後妻業ビジネスという新しい言葉が使われていること、個人同士ではなく音楽事務所など法人絡みの問題になっていること、再々婚により異母兄弟の間に微妙な見解の相違があることなどで、これらが問題を一層複雑なものにしています。
きわめつけは三男の発言として、平尾さんが5年前に弁護士宛に遺言メールを送っており、故人の意思はそこに示されていると述べていることです。メールが事実であれば、そこに何らかの故人の意思を忖度することはできますが、残念ながら現在の法律では遺言としての効力は何もありません。
結局、今回の騒動においては後妻業ビジネスなのかどうかはともかく、平尾さんが生前にご自身の意思を明確に遺言として残さなかったことが最大の問題と言わざるをえません。とりわけ遺産額が大きく、しかも複数回の婚姻を経て親子や兄弟間に隙間風が吹いているようなケースであれば、なおさら遺言でしっかり意思表示をしておくべきです。
あるいは贈与などを組み合わせた全体的な生前相続対策などによって、相続人同士が不満を持たないようできるだけ公平に財産分与を図ることが大切でしょう。くれぐれも遺言をメールで済ませるようなことだけはしないでほしいものです。

 

 

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【2018年9月】
紀州のドンファンと遺留分

 

先月から今月にかけて日本は台風や地震、大雨など度重なる自然災害に襲われ多くの人命が失われると共に、大規模停電でライフラインが切断され多数の人が未だに避難所で不自由な生活を強いられています。平成がもうすぐ終わり新しい元号が始まろうとしているこの国に、一刻も早く平穏な暮らしが戻るのを祈るばかりです。
さてまだ記憶に新しいニュースとして、5月に和歌山県田辺市で紀州のドンファンと呼ばれた野崎さんという男性が自宅で急死し、その体内から覚せい剤の成分が検出される事件がありました。殺人の可能性があるとして今も捜査は続いています。ところが最近遺言書が見つかったことで、さらに関係者を驚かせているという話です。
遺言は5年ほど前に書かれ、出身地である田辺市に遺産のすべてを寄付するとの内容でした。所有していた資産は現金や不動産などを含め50億円と言われていましたが、会社の経営があまり思わしくなかったとかで実際にはその数分の一程度のようです。

野崎さんには子供がおらず、2月に結婚したばかりの若い妻がいました。問題なのは、その妻つまり配偶者には一銭も財産が残らないのかということです。しかし相続においては遺留分の規定があるため、遺言の内容にかかわらず配偶者や子供、親は一定の遺産を受け取ることができます。ですから妻は請求すれば、一部を受け取ることは可能です。
この遺留分の規定で注意していただきたいのは、被相続人の兄弟姉妹はその対象から外れることです。その理由としては、相続順位が配偶者や子供、親などに比べ低い、すなわち相続関係が遠いからと言われます。
野崎さんも遺言を書く時に、兄弟姉妹に遺留分がないことは当然知っていたはずです。つまり生前あまり親しくなかった兄弟姉妹には、遺産を相続させたくないとの意思があったのでしょう。また遺留分があるとは言え、妻への相続について何も触れていないのは、もともとそのような関係としてしか考えていなかったということかもしれません。妻については、今後の捜査の進展によりその立場がどうなるのかも注目されるところです。
それはともかく、皆様も遺言を書かれる場合はこのような相続人と遺留分の関係をよく理解した上で、ご自分の意思がその内容に正しく反映されるように十分お気をつけください。

 

 

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【2018年8月】
お盆の風習と相続

 

今年の夏は大阪北部地震や西日本豪雨、東から西へ逆走した台風、温暖化による40度を超える猛暑など異常とも思える災害や天候が続き、日々の生活に大きな不安を感じた人が多かったと思います。

そんな中で、地方によっては7月の所もあるようですが、毎年8月になるとお盆がやって来ます。お盆と相続は直接のつながりはありませんが、それらには祖先というものを媒介にして何か共通する点があるように思います。

お盆は盂蘭盆会(うらぼんえ)とも呼ばれる仏教行事で、もともとは仏に対する信仰や帰依を示す報恩感謝のために行われていました。それがしだいに祖先を死後の苦しみの世界から救済し、その冥福を祈るための供養の行事へと移り変わって来ました。

一般的にはお盆初日である8月13日の夕方に迎え火を焚き、祖先の精霊をあの世からお迎えします。仏壇へのお供え物の中に、米や酒、餅、お菓子などに交じって棒の脚の付いたキュウリがあるのは馬を模したもので、一刻も早く祖先を乗せてお迎えするためです。そして期間中丁寧に供養した後、最終日である16日は逆にゆっくり帰って頂くため、短い脚の付いたナスビの牛であの世へと送ります。

こうした風習には、古来から日本の仏教的な考え方や祖先を崇める心が表わされています。それらはキリスト教の多い欧米にはもちろんありませんし、イスラム教やヒンドゥー教の多い中東や東南アジアにもありません。

同じ仏教国である中国や韓国には似たような風習が残っているようですが、例えば中国では道端にろうそくを灯し、そこで百元札に似せて紙で作ったお金を燃やして先祖に捧げるしきたりがあるようです。紙には「天府通道」(テンフートンダオ)と書かれていて、天国で通用するお金を使ってあの世で楽に暮らしてほしいとの意味のようです。近年はお金の代わりにスマホや電化製品、車、家などの絵が描かれたものもあるらしく、いかにも金銭や物品にドライな中国らしいと言えるかもしれません。

私たちが日本で相続というものに直面した時に、財産が多いとか少ないといった金銭的な価値だけでそれを考えるのはやや寂しい気がします。それはもちろん大事なことではありますが、それだけではなく代々続くしきたりや祖先の心など精神的な遺産にも思いを馳せ、それらを含めて受け継いで行きたいものです。

 

 

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【2018年7月】
“フレイル”と認知症

 

先月の西宮市発行の「市政ニュース」一面に、“フレイル”に関する記事が掲載されていました。「フレイルを予防していつまでも元気に」や「フレイルは早めの気づきと予防対策を」といった見出しから、どうやら高齢化にともない心身の機能が低下した状態を指す言葉のようです。

次の5つの簡単なチェックリストのうち、一つでもあてはまるとそのリスクが高まっているとのことです。

1.半年前より体重が2、3キロ減った 2.以前より疲れやすくなった 3.出かけるのがおっくうになった 4.ペットボトルのふたを開けにくくなった 5.青信号の間に横断歩道を渡り切れなくなった

若い人でも気持しだいで元気になったり不健康になったりしますので、これらは“フレイル”でなくてもみな一つや二つはあてはまる気もします。誰が使い始めたのか知りませんが、この難しい言葉は果たして5年後、10年後の日本できちんと定着しているのでしょうか。

それはともかくとして、厚生労働省の推計によると2025年のわが国の65歳以上の認知症患者は700万人を超え、5人に1人の割合になるとのことです。これは実に重大な事態だと、あらためて思わざるをえません。単なる心身の機能低下ではなく、人間として周囲の物事が認知できなくなるというのはきわめて由々しき問題であり、しかも65歳以上の5人に1人というのは大変な数です。

認知症

これを相続の面で考えると、遺言書が書けなくなったり、財産の管理ができなくなったり、また生前贈与などの相続対策ができないなどさまざまな不都合や弊害が生じることになります。 こうした認知症を初めとする病気や事故などで判断能力が不十分になった人のために、「成年後見制度」があります。

判断能力の程度によって後見相当、保佐相当、補助相当の3種類に分かれますが、その申し立てができるのは本人、配偶者、4親等以内の親族です。 後見人には親族がなる場合もありますが、司法書士など専門家が選ばれる場合もあります。申し立てから後見人選任までは、1ヶ月から長い場合は2、3ヶ月かかることもありますので、早めの手続きが望ましいでしょう。

“フレイル”にしても認知症にしても、その予防で大切なのは人や社会とのつながりを持つことだと言われます。趣味を持ってサークル活動をしたり、ボランティア活動に参加したり、仲間を作って社会参加することで脳や身体を活性化させることができます。それによって心身の衰えを防ぎ、いつまでも楽しく元気な老後生活を送りたいものです。

 

 

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【2018年6月】
「配偶者居住権」とは?

 

相続分野では40年ぶりとなる改正相続法が、今年春から国会で審議されてきました。その一つの目玉が、「配偶者居住権」と呼ばれるものです。成立すれば平成31年からの施行となります。 これは簡単に言うと、同じ住まいで長年一緒に暮らしてきた夫婦がいて、例えば夫が亡くなった時その土地と建物を子供や第三者などが相続した場合、もし妻が所有者から出て行くことを要求されても「配偶者居住権」を主張すれば出ていかなくてすむというものです。

「配偶者短期居住権」というものもあって、こちらは妻が家を相続できなくても6ヶ月間程度まではその所有者に対し居住する権利を主張できる制度です。 しかし6ヶ月間では短いことから、もっと配偶者が安心して長く暮らせるようにその居住権を長期にわたり保護するために「配偶者居住権」も合わせて創設されることになりました。

もともと居住権ですから所有権とは異なり、それよりも制限された利用権となります。(この場合、土地と建物については居住権付き不動産になる) 居住権は経済的な価値であり財産として評価されますが、所有権を相続する場合に比べ、その評価額は低くなります。これはある意味当然ですが、配偶者にとっては相続税の計算などで有利に働くため、ありがたいとも言えます。

ちなみに評価の計算方法の一つとして、土地と建物の賃料を仮定して行う方法があります。例えば賃料月10万円として、配偶者(妻)の年齢が70才とします。その年齢の女性の平均余命がおよそ20年とすれば、次のような計算となります。

◇年間(賃料)120万円✕ライプニッツ係数※12.462(法定利率5%、年数20年の場合)=約1,500万円  ※ライプニッツ係数とは長期にわたる賠償額などを、現時点の一時金で換算評価する場合に使用する複利現価のこと。

つまり配偶者の居住権の評価額は、約1,500万円ということになります。 この場合、土地と建物の不動産としての評価額が仮に3,000万円とすれば、所有権を相続するよりも約半分の額で計算されるため、遺産分割の面などで有利に働く可能性が高いと言えます。(その分を他の預貯金などで受け取ることができるなど)

この「配偶者居住権」はあらかじめ遺言書に書いておくか、または相続が発生した後の遺産分割協議などによって決めることができますのでぜひ有効に活用していただきたいと思います。

 

 

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【2018年5月】
“争族”だけは避けたいもの

 

先日あるテレビのワイドショー番組で、コメンテーターをしている元プロ野球スター選手の息子さんが、自分は父親が亡くなっても相続放棄をしているので遺産は一円も受け取らないのだとやや誇らしげに話すのを見ました。四人兄妹ですでに母親が亡くなっているので、妹さんたちが1/3ずつ相続することになっているとのこと。番組の出演者たちがみな意外そうな顔をしてなぜ放棄したのだと訊ねると、遺産の分割で兄妹がもめるのがイヤとのこと。まあそれなりの収入があり遺産に頼らなくても生活できる自信があるのでしょうが、それにしてもなかなか見上げた心がけと感心しました。
その一方では昨年暮れ東京江東区の富岡八幡宮で、女性宮司が元宮司の弟に襲われ刺殺された痛ましい事件を思い出します。神社の運営や遺産相続にまつわるトラブルが原因で起こった、姉弟間の長年の確執や恨みによる凶行だったようですが、由緒ある神社の富と権力はそれほどまでに人の心を狂わせてしまうのでしょうか。
この二つはやや極端な例ですが、昔から兄弟は他人の始まりと言われるようにこと相続に関しては元スター選手の息子さんのようによほど出来た人間でない限り、何らかの争いが起こるのはよくある話です。血がつながっていてもそうですから、血のつながりのない相続人が関係して来るとなおさらです。特に夫婦が離婚や再婚をして、新しい配偶者やその子供たちが関係する場合は話がこじれがちです。こうした複雑な親族同士の間に起こる相続問題は、ミステリー小説の恰好な題材としてよく取り上げられています。



このような“争族”の問題は遺産が高額だから起こると思われがちですが、決してそうではないのです。ちなみに平成26年に家庭裁判所が取り扱った相続事件の遺産規模別割合をデータで見ると次のようになっています。
 ○1千万円以下 31.9% ○5千万円以下 43.0%
 ○1億円以下  12.6% ○5億円以下   6.5%
 ○5億円超    0.5% ○算定不能・不詳 5.5%
これでおわかり頂けるように、相続で争いが起こるのはむしろ5千万円以下や1千万円以下のケースが非常に多く、逆に1億円以上では少ないのです。遺産が多いとそれだけ十分相続人に分割できるので、不満が少ないということもあるかもしれません。よく預貯金が潤沢にあれば分割しやすいが、不動産しかないと分割が簡単に行かないのでもめることが多いと言われます。この点を考えると遺産規模が5千万円以下でそのほとんどを不動産が占める場合などは、生前からそうしたことを見込んで遺産が公平に分割できるようにさまざまな対策を取っておくことがきわめて大切と思われます。

 

 

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【2018年4月】
 葬儀は自分で計画する時代

 

相続とは、ある意味では「終活」の問題でもあります。「終活」はかなり幅広い意味を持つ言葉で、生前から相続に関することを初めとして死に向けてさまざまな準備をし、悔いの残らないよう人生の有終の美を飾るための活動と言えます。
健康寿命をできるだけ長くしたり病気や介護・認知症になった時の医療対策、葬儀やお墓の事前準備、円満相続のための遺言書作成、自分史の編纂、遺品の整理、等々その内容はいろいろあると思います。
法人経営者などで事業承継が大きな問題となる場合などを除けば、これらは個人としていかに人生の最後を有意義に終えるかということです。それは残された家族の問題でもあり、また自分の問題でもあります。

そうした「終活」の中で、葬儀の準備があります。葬儀と言えばお坊さんのお経とお焼香のイメージが強いですが、葬儀屋さんが故人の生前を遺族にヒアリングし、その記録と写真でスライドショーを行ったり、故人が好きだった音楽やモーツァルトのレクイエム、ショパンの別れなどクラシックの定番曲を流すといった演出がよくあるようです。
最近は葬儀屋さんもいろいろ工夫し、さらに新しいスタイルが登場しているようです。故人の趣味に合わせて設営自体を凝ったものにする、たとえば茶道が趣味であったらお茶会形式の葬儀にしたり、生演奏による音楽葬やバルーン使用の告別式などもあるようです。
そうした内容はともかく、問題はそれらを生前に自分で考え計画しておくかどうかです。葬儀というものを残された家族のためだけに行うのではなく、自分の人生の最後を自分が満足できる形で終える準備ということになります。
こうした葬儀なら会葬者もそこに故人の意思をありありと感じることができ、より故人を強く偲ぶことができるのではないでしょうか。葬儀に参列してくれる方々に、直接自分で最後のメッセージを残すという方法がこれからの主流になりそうな気がします。

 

 

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【2018年3月】
 ボツイチという言葉の響き

 

昨年後半頃から、ボツ(没)イチという言葉を聞くようになりました。NHKのテレビ番組などでも取り上げられ、注目されています。バツイチをもじったようなその言葉は、主に65歳以上の高齢になってから配偶者が亡くなり単身で残されることを意味します。各地で「没イチの会」なども結成されているように高齢化の進行とともにその人数はますます増加し、現在では一千万人近くにまで達しています。
こうしたボツイチの方々を対象としたビジネスも活発になってきており、「おひとりさまツアー」や「高齢者専門の結婚相談」といった分野に参入する企業も増えているようです。しかし同じボツイチでも男女によってその感じ方には差があり、あるアンケートによれば現在の幸福度を10点満点で尋ねたところ女性は最も多いのが8点でしたが、男性は5点でした。同じようなやもめ暮らしでも女は女同士で賑やかに楽しめる人が多いのに、男はどちらかと言えば孤独で寂しいということなのでしょうか。どこか物悲しい響きがありますね。

このような男女差はともかくとして、相続という点からはまた別の問題が浮かび上がってきます。
相続税に関しては配偶者が亡くなった時点では配偶者控除(配偶者の税額軽減制度)が適用され、1億6千万円(または配偶者の法定相続分相当額のどちらか大きい方)までは非課税の優遇措置があり負担はそれほど大きくはならないでしょう。
ただしその後でご自分が亡くなった時はこの優遇措置はなくなり、残された相続人に相続税の負担がかかることが予想されます。子供がいる場合とそうでない場合、またさまざまな家族や親族関係などが関係してくる場合もありますので、相続人は誰になるかについてあらかじめ想定しておくことが望ましいと思われます。遺言書という形でしっかりご自分の意思を遺しておくことも有力な方法です。
ご自分が健康で元気なうちはあまり気にならないのかもしれませんが、何事も転ばぬ先の杖です。こうした問題を生前にしっかり考えて対策を準備し、残された家族や親族の間でもめ事やトラブルを引き起こさないようにしたいものですね。

 

 

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【2018年2月】
 相続ではデジタル遺品にも注意

 

昨年あたりから、デジタル遺品という言葉をしきりに見聞きするようになりました。遺品というと色や形のある物品だったり、預金通帳などでも目で見て内容を確認できるものが普通です。そうしたものであれば亡くなられた方の住まいや部屋を隅々まで探せば、何とか内容を把握することができるでしょう。
しかしこのデジタル遺品となると、なかなか厄介な問題を抱えることになります。パソコンやスマホといった電子機器の中には多くの情報が詰まっており、しかもそれらはIDやパスワードが不明だと見ることができないものがほとんどです。それらをあらかじめメモにでもきちんと残しておいてくれれば良いのですが、プライベートなものが多いためそれを実行している人は少ないのではないでしょうか。デジタル遺品そしてその中には写真や動画といった情報だけでなく、金銭に関わるものも少なくありません。ネットバンキング、電子口座などによる株やFX、先物取引などの資産運用、さらには最近のビットコインなどの仮想通貨の売買といったことを手掛けている方もおられます。これらは必ずしもプラスの遺産だけとは限らず、負の遺産として残されていることも考えられます。少ない金額ならともかく、運用に失敗していたりするとあっという間に多額の負債となっている可能性もあります。
それらを確かめたいと思っても、IDやパスワードがわからなければ確認のしようがありません。わかっていればすぐ相続放棄していたのに、相続手続きが終わってしばらくしてから発覚するといったこともありえます。
こうした予想外の事態を避けるため、最近はパスワードを解除してくれる専門のIT業者も登場しているようなので、心配があれば早めにそうした業者に依頼するのも一つの方法でしょう。
いずれにしても一昔前までは考えられなかったこうしたデジタル遺品についても、生前に家族で良く話し合ってあらかじめ内容を確認できるように対策を立てておくことが望ましいと思われます。

 

 

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【2018年1月】
 日本人は遺言書を誤解している?

 

アメリカなどでは遺言書が当たり前という風潮があるようですが、なぜか日本人は遺言書を書く人があまり多くありません。最近のある調査によると十数%程度だとのことです。現状では明らかに少数派と言えます。その理由はいろいろありそうですが、一つには遺言書をなぜか遺書と混同して考える人がいることもあるようです。しかし言葉はたしかに似ていますが、この二つは似て非なるものと言えます。遺書はこれから死のうとする人が、その理由や覚悟、死への思いなどをダイイングメッセージとして残すものですから、それを見る人にとっては何か恨み言を聞かされるようなもので、あまり縁起の良いものではなく暗い印象です。
これに対して遺言書は、同じ死後のために残すメッセージではありますが、計画性のある正しく明快なものです。
相続人同士の死後のもめ事は、必ずしも遺産額が多いから起こるわけではなく、どちらかと言えばやや少な目の場合に起こるとの調査結果もあるくらいです。世間一般の例を見ても「金持ちケンカせず」の言葉もあるくらいですから、これは何となく頷ける話です。

遺言書 死後のもめ事を防ぐ意味からも、遺言書はきちんと書いておきたいものです。特に相続人が複数いる場合は、たとえ今はお互いに仲が良かったとしても、いざ遺産を目の前にしたら人間どうなるかはなかなか予想がつかないものです。高齢化社会となり、最近は生前にいろいろ準備を済ませて最後を迎えようとする「終活」をする人が増えています。その一つとして、残される家族のためにもぜひきちんと遺言書を書いておくことを心がけるべきではないでしょうか。